Claudeは、Anthropic社のAIアシスタントです。ChatGPT、Gemini、Grokと並んで、最も人気のあるAIツールのひとつです。
私は頻繁に使うわけではないのですが、使うたびに「いちばん礼儀正しいAI」だと感じます。安全性と倫理原則を重視して設計されており、あるお客様は「Claudeがいちばん女性にやさしい気がする」とおっしゃっていました。
些細なことに聞こえるかもしれませんが、これは大事な点です。大規模言語モデルの文章の生成のされ方には、作り手が世界をどう見ているかが表れがちです。倫理と安全を最優先するチームが存在すると分かっているのは、心強いことです。
ところが最近、Anthropicがひっそりとプライバシーポリシーを変更し、ユーザーや経済学者、AIインフルエンサーの間で懸念が広がりました。
- オプトアウトしない限り、会話がデフォルトでモデルの学習・改善に使われるようになった(設定画面から自分で設定を外す必要があります)
- オプトアウトしなければ、データは最長5年間保持される可能性がある
安全性とユーザーの信頼を看板にしてきた会社としては、意外な変更でした。OpenAIなどの他のAIプレイヤーに追いつくための競争圧力を考えれば理解はできます。それでも、残念なことに変わりはありません。
プライバシーは、大規模言語モデル(LLM)を使う上で常に最大の懸念事項のひとつでした。今回の変更は、この競争がいかに激しくなっているか、そして企業が速く動くために原則を妥協する「底辺への競争」のリスクを示しています。
もちろん、設定からオプトアウトはできます。しかし、デフォルトが「共有する」になっているということは、ほとんどの人が知らないうちに会話記録を提供することになります。私がいちばんがっかりしたのは、ポリシー変更そのものよりも、この点でした。人々の無知から利益を得ているように感じられるからです。
私にとってこれは、ひとつのリマインダーでした。技術の進化を止めることはできません。でも、それ(技術)をどう作るか、本当に人のためになるものにするかどうかは、私たち一人ひとりが主体性を持って決めていかなければならないのです。
Claudeの一件は、より大きな教訓も示してくれました。AIツール選びは、機能の比較だけではないということです。データプライバシー、安全性、そして自分が求める使い心地。つまり「価値観」の問題でもあるのです。
私たちの選択が、AIの進化の方向を形づくります。他人事ではなく、常に好奇心を持ち続け、人間のためになるAIを一緒に求めていきたいですね。
